Q.懲戒解雇などの場合の退職金不支給は違法か?

  • 2017.06.01 Thursday
  • 13:55

A.永年の勤続の功を抹殺してしまうほどの不信があれば適法

 

退職金は、労働基準法上は原則として賃金には該当しません。

しかしながら、労働協約、就業規則、労働契約等によってあらかじめ支給条件の明確なものは賃金に該当します。

したがって、退職金であっても支給条件が明確にされ、労働者が権利として請求しうるものは賃金に該当します。

 

賃金に該当するならば、懲戒解雇だからといって退職金を支給しないのは、制裁としての不支給であるから労基法第91条(減給の制裁)、また、同法第16条(賠償予定の禁止)、同第24条(賃金全額払いの原則)に抵触して違法とならないかが問題となります。

 

判例では、下記のように示しています。

 

〇退職後の同業他社への就職を理由に退職金を半分とした事案(昭和52.8.9最高裁判決 三晃社事件)

「被上告会社が営業担当社員に対し退職後の同業他社への就職をある程度の期間制限することをもって直ちに社員の職業の自由等を不当に拘束するものとは認められず、したがって、被上告会社がその退職金規則において右制限に反して同業他社に就職した退職社員に支給すべき退職金につき、その点を考慮して、支給額を一般の自己都合による退職の場合の半額と定めることも、本件退職金が功労報償的な性格を併せ有することに鑑みれば、合理性のない措置であるとすることはできない。すなわち、この場合の退職金の定めは、制限違反の就職をしたことにより勤務中の功労に対する評価が減殺されて、退職金の権利そのものが一般の自己都合による退職の場合の半額の限度においてしか発生しないこととする趣旨であると解すべきであるから、右の定めは、その退職金が労働基準法上の賃金にあたるとしても、同法3条、16条、24条及び民法90条等の規定にはなんら違反するものではない。」

 

また、商品販売の責任者が会社商品を持ち出し、隠匿した行為は懲戒解雇に相当すると認められ、企業秩序のみならず社会秩序に反する行為であって、会社の社会的信用を著しく損なうものであり、勤続の功労を抹消するほどの著しく信義に反する行為であるから、就業規則の規定により退職金不支給は不当ではないという判例もあります。(平成9.4.25大阪地裁判決 日本電信電話事件)

 

懲戒解雇に該当する事由にもよりますが、永年の功労を無にするような行為であれば、退職金不支給も可能ということですね。

 

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