残業時間上限規制の方向性〜労働政策審議会建議「時間外労働の上限規制等について」より〜

  • 2017.06.08 Thursday
  • 11:13

厚生労働大臣の諮問機関である労働政策審議会は、6月5日に、時間外労働の上限規制等について建議を行いました。

建議とは、同審議会が厚生労働大臣に意見を述べることで、今後の法改正の基本的な方向性を示しています。

 

建議の内容は、3月末に発表された「働き方改革実行計画」を内容に沿ったものとなっています。

以下、そのポイントを紹介します。

 


 

1.時間外労働の上限規制

 

(1)上限規制の基本的枠組み

現行の時間外限度基準告示を法律に格上げし、罰則による強制力を持たせるとともに、従来、上限無く時間外労働が可能となっていた臨時的な特別な事情がある場合として労使が合意した場合であっても、上回ることのできない上限を設定することが適当である。

 

〇時間外労働の上限規制は、現行の時間外限度基準告示のとおり、労働基準法に規定する法定労働時間を超える時間に対して適用されるものとし、上限か原則として月45時間、かつ、年360時間とすることが適当である。かつ、この上限に対する違反には、以下の特例の場合を除いて罰則を課すことが適当である。また、一年単位の変形労働時間制にあっては、あらかじめ業務の繁閑を見込んで労働時間を配分することにより、突発的なものを除き恒常的な時間外労働はないことを前提とした制度の趣旨に鑑み、上限は原則として月42時間、かつ、年320時間とすることが適当である。

 

〇上記を原則としつつ、特例として、臨時的な特別な事情がある場合として、労使が合意して労使協定を結ぶ場合においても上回ることができない時間外労働時間を年720時間と規定することが適当である。

 

〇かつ、年720時間以内において、一時的に業務量が増加する場合について、最低限、上回ることのできない上限として、

 ゝ抛労働を含み、2か月ないし6か月平均で80時間以内

 休日労働を含み、単月で100時間未満

 8饗Г任△觀45時間の時間外労働を上回る回数は、年6回まで

とすることが適当である。なお、原則である月45時間の上限には休日労働を含まないことから、ゝ擇哭△砲弔い討蓮特例を活用しない月においても適用されるものとすることが適当である。

 


 

上限規制の枠組みに関しては、働き方改革実行計画で示された内容と同じですね。

今まで、労働基準法上明記されていなかった時間外労働の上限時間を、罰則付きで明記する。

さらに、実態として青天井で残業が認められていた特別条項についても、 銑の上限規制を設けることとなります。

 

次に、時間外労働の上限規制の「適用除外」についてです。

 


 

(2)現行の適用除外等の取扱い

現行の時間外限度基準告示では、ー動車の運転の業務、工作物の建設等の事業、新技術、新商品等の研究開発の業務、(中略)が適用除外とされている。これらの事業・業務については、健康確保に十分配慮しながら、働く人の視点に立って働き方改革を進める方向性を共有したしたうえで、実態を踏まえて、以下の通りの取り扱いとすることが適当である。

 

ー動車の運転業務

〇自動車の運転業務については、罰則付きの時間外労働規制の適用除外とせず、改正法の一般則の施行期日の5年後に、年960時間以内の規制を適用することとし、かつ、将来的には一般則の適用を目指す旨の規定を設けることが適当である。また、5年後の施行に向けて、荷主を含めた関係者で構成する協議会で労働時間の短縮策を検討するなど、長時間労働を是正するための環境整備を強力に推進することが適当である。

 

建設事業

〇建設事業については、罰則付きの時間外労働規制の適用除外とせず、改正法の一般則の施行期日の5年後に、罰則付き上限規制の一般則を適用することが適当である。ただし、復旧・復興の場合については、単月で100時間未満、2か月ないし6ヶ月の平均で80時間以内の条件は適用しないが、併せて、将来的には一般則の適用を目指す旨の規定を設けることが適当である。また、5年後の施行に向けて、発注者を含めた関係者で構成する協議会を設置するなど、必要な環境整備を進めるとともに、労働時間の段階的な短縮に向けた取組を強力に推進することが適当である。

 

新技術、新商品等の研究開発の業務

〇新技術、新商品等の研究開発の業務については、専門的、科学的な知識、技術を有する者が従事する新技術、新商品等の研究開発の業務の特殊性が存在する。このため、現行制度で対象となっている範囲を超えた職種に拡大することのないよう、その対象を明確化したうえで適用除外とすることが適当である。

 


 

適用除外の職種・業務については、「運転業務」「建設業」に関しては、原則として適用除外ではないが、法律の施行日から5年間は上限規制が猶予される方向性です。

ただし、5年後を目途に上限規制が適用されるため、その間に長時間労働の是正策を推進する必要があります。

なお、研究開発業務に関しては、現行と変わらず、今後も適用除外となる方向です。

 

最後に、最近話題にあがることの多い「勤務間インターバル」についてです。

 


 

2.勤務間インターバル

勤務間インターバルについては、労働者が十分な生活時間や睡眠時間を確保し、ワーク・ライフ・バランスを保ちながら働き続けることを可能にする制度であり、その普及促進を図る必要がある。

このため、労働時間等設定改善法第2条(事業主等の責務)を改正し、事業主は、前日の終業時刻と翌日の始業時刻の間に一定時間の休息の確保に努めなければならない旨の努力義務を課すとともに、その周知徹底を図ることが適当である。

 


 

勤務間インターバルについては、労基法にて規定するのではなく、労働時間等設定改善法にて努力義務として規定する方向性ですね。

 

 

以上、建議のポイントのみを抜粋しました。

同建議では、その他に「労働時間の上限規制について、労働基準法に基づく新たな指針」や、「長時間労働に対する健康確保措置」にも触れています。

 

 

建議の詳細は、下記のサイトでご覧いただけます。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000166799.html

 

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