Q.台風で従業員が遅刻、賃金は払わなくてOK?

  • 2017.07.11 Tuesday
  • 08:30

A.遅刻した時間については、賃金支払い義務はありません。

 

大型台風の発生や、突然の大雪の影響で公共交通機関がストップ。

結果として、多くの従業員が始業時刻に間に合わず遅刻する。

最近、よくある光景ですね。

 

このような場合、遅刻した従業員に賃金を支払う必要があるのでしょうか。

 

この問題を考える上で大原則となる考え方を解説したいと思います。

それは、「ノーワーク・ノーペイの原則」です。

 

労働契約は、労務を提供し、賃金を支払うという有償、双務契約です。

したがって、労務の提供がない以上「賃金を下さい」という賃金請求権は発生しないのが原則であり、これをノーワーク・ノーペイの原則といいます。

そこで、労働契約で労働すべきことが定められている日である所定労働日に欠勤、遅刻、早退などで労働できなかったときは、一般に労働者の都合による労働契約の不履行に該当し、労働の対価たる賃金の請求権が発生せず、使用者の支払義務もなくなります。

すなわち、労働者が遅刻、早退、私用外出等により提供すべき労務を提供しなかった時間がある場合にその時間に応じて賃金を減額することはノーワーク・ノーペイの原則から適法となります。

 

では、問題のように、天災事変等で出勤できない場合のような、労働者にも使用者にも責任のない不可抗力による契約の履行不能の場合の賃金支払いについてはどうでしょう。

 

この場合は、民法の危険負担の原理によって解釈され、かかる不可抗力的な場合にはその負担は、「債務者負担」が原則であるから、労務提供の債務を負う労働者が不可抗力によって提供できなかった以上、その損失は労働者が負担することになり、賃金の支払いは受けられないということになります。

 

ただし、交通ストなどについて使用者が賃金保障する旨の特別の定めをすればそれによりますのでご注意ください。

 

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