新たに策定された「労働時間の適正把握のためのガイドライン」

  • 2017.01.26 Thursday
  • 17:21

昨年12月27日更新のブログにて、長時間労働に対する行政の指導がより厳格化されることを紹介しました。

 

2016年1月27日更新:厳格化される長時間労働に対する行政指導

http://sr-komaya.jugem.jp/?eid=45

 

その中で触れた、使用者向けの「労働時間の適正把握のための新ガイドライン」が、1月20日に策定されました。

今までも、同様の趣旨の通達がありましたが、今回の新ガイドラインは更に踏み込んだ内容となっています。

中でも、注目すべき点を下記に紹介します。

 


〇労働時間の考え方

労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる。そのため、次のアからウのような時間は、労働時間として扱わなければならないこと。(中略)

 

ア.使用者の指示により、就業を命じられた業務に必要な準備行為(着用を義務付けられた所定の服装への着替え等)や業務終了後の業務に関連した後始末(清掃等)を事業場内において行った時間。

イ.使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態で待機等している時間(いわゆる「手待時間」)。

ウ.参加することが業務上義務付けられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間。

 


 

上記のように、新ガイドラインでは「業務上必要な研修・教育訓練・学習等」を行っていた時間も労働時間であると明記しています。

 

次に、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置」についてです。

簡単に言えば、タイムカードや出勤簿等にて適正に労働時間を記録しなさいという内容ですが、今回のガイドラインでは『自己申告制』のケースに多くの項目を設けています。

 


〇自己申告制により始業・終業時刻の確認及び記録を行う場合の措置

自己申告制によりこれを行わざるを得ない場合、使用者は次の措置を講ずること。

 

ア.自己申告制の対象となる労働者に対して、本ガイドラインを踏まえ、労働時間の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと。

 

イ.実際に労働時間を管理する者に対して、自己申告制の適正な運用を含め、本ガイドラインに従い講ずべき措置について十分な説明を行うこと。

 

ウ.自己申告により把握した労働時間が実際の労働時間と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。

 特に、入退場記録やパソコンの使用時間の記録など、事業場内にいた時間の分かるデータを有している場合に、労働者からの自己申告により把握した労働時間と当該データで分かった事業場内にいた時間との間に著しい乖離が生じているときには、実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。

 

エ.自己申告した労働時間を超えて事業場内にいる時間について、その理由等を労働者に報告させる場合には、当該報告が適正に行われているかについて確認すること。

 その際、休憩や自主的な研修、教育訓練、学習等であるため労働時間ではないと報告されていても、実際には、使用者の指示により業務に従事しているなど使用者の指揮命令下に置かれていたと認められる時間については、労働時間として扱わなければならないこと。

 

オ.自己申告制は、労働者による適正な申告を前提として成り立つものである。このため、使用者は、労働者が自己申告できる時間外労働の時間数に上限を設け、上限を超える申告を認めない等、労働者による労働時間の適正な申告を阻害する措置を講じてはならないこと。

 また、時間外労働時間の削減のための社内通達や時間外労働手当の定額払等労働時間に係る事業場の措置が、労働者の労働時間の適正な申告を阻害する要因となっていないかについて確認するとともに、当該要因となっている場合においては、改善のための措置を講ずること。

 さらに、労働基準法の定める法定労働時間や時間外労働に関する労使協定(いわゆる36協定)により延長することができる時間数を遵守することは当然であるが、実際には延長することができる時間数を超えて労働しているにもかかわらず、記録上これを守っているようにすることが、実際に労働時間を管理する者や労働者等において、慣習的に行われていないかについても確認すること。

 


 

以上のように、労働時間の自己申告制については、かなり細かい内容が記されています。

電通をはじめとする大企業において、記録上の労働時間と実態との乖離が非常に大きく、この点について行政も厳しく指導を行う姿勢が伺えますね。

 

なお、このガイドラインは大企業だけでなく、労働者を使用するすべての事業場が対象です。

労働基準監督署の指導も、原則として、このガイドラインの内容に沿って行われます。

今一度、自社の労働時間管理の状況を確認してみてはいかがでしょうか。

 

ガイドラインの詳細は、下記のサイトでご覧いただけます。

 

http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/151106.html

 

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